「僕のクマ、知りませんか」


「クマ? あの、クマ?」


首を縦に振った。


「いなくなっちゃったんです。クマ」


さすがに歩いて家出するわけねえだろうなあと妄想していた。


「どこに置いたか、わかる?」


「わからないんです。モトカノがくれたクマだから、別にいいんですけど……」


信号が青に変わる。


伊吹くんのクマを探さなきゃならないの、って思うけど、今回の件もあるから借りは返さないと。