「熊井くん、ちょっと」


 教材研究部のドアを開けると滝川部長が頭をかきながら困った顔をしていた。その隣で伊吹くんが声を張り上げながら電話をしている。


「どうかしましたか」


「大変なことになった」


「どうやら3教科から5教科に急きょ変更になった。あと、今日配信予定の教材から訂正箇所があってだな」


 印刷された資料に目を通すと若干どころではなく、かなりの訂正を入れる必要がある。


「今、手配をかけてもらうように電話をしているんだが……」