「そういえば、ブルーの石が入った指輪、知らない?」


「この間会ったときにはしてたな」


滝川部長は体を起こし、ふたを開けてあげたミネラルウォーターに口をつける。


「前にあげたやつだっけ。新しいの、欲しいのか。買ってやるか」


「いい。自分で買うから」


「もうちょっと甘えてもいいんだぞ」


「十分だから」


「そっか。カオルコがいうなら何にも言えないな」


滝川部長は目を合わさず、口元だけ笑っていた。困ったときに笑う癖は知っている。