青空の広がる二月。

友人達から贈られた純白のドレスに身を包み、ふわりと優しく揺れるベールを付け、千彩は一歩、また一歩と愛しい人の元へと足を進める。
それを待つ晴人は、些か堅い表情をしながらも、穏やかな気持ちで愛しい人を待っていた。


「汝晴人は、この女千彩を妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを誓いますか?」

「はい、誓います」


言われるまでも無い。と、余裕綽綽で返事をする晴人。ピンと張りつめていた緊張感も、隣でゴソゴソと身動く千彩を窘めているうちに、いつしかどこかへ消えてしまった。


「汝千彩は、この男晴人を夫とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを誓いますか?」

「はい!誓います!」


何度も練習した言葉を、元気いっぱいに響かせた千彩。そんな千彩に、晴人がまたにっこりと微笑む。


これが、彼の探し求めた幸せの形。

これが、彼女が初めて知った愛の形。


壊れないように大切に、慈しみながら二人は歩む。
時には晴人が、時には千彩がそれぞれの手を引きながら、互いの左手の薬指に嵌るリングを淡い彩として。


都会の片隅でこっそりと始まった「ハル」と「サナ」の小さな恋物語は、こうして「晴人」と「千彩」の永久の愛の物語となった。