軽快に走ってくる足音の方向に目を向けた瞬間──剛は目の前に霧がかかったようになった。 「え……?」 意味も解らず視界は真っ暗になる。 「ああっ!? ごめん!」 そんな声が微かに耳に届いたけれど、声の主の姿を捉えることは適わず意識を失った。