ふと、頭の横に足が見えた。 「ああ──やっと来たんだ」 声は出ないが、考えて目を閉じる。 「すまない」 血まみれで横たわる剛にガーネットの瞳を細める。 もはや、デイトリアの血を飲ませたところでその傷を癒すことは不可能なほどに致命傷を負っていた。 「──っ」 突き上げてくる血の生臭さと、気管に入り込んでいる血液で喉が詰まる。 しゃがみ込み差し出される剛の震えた手を取り、心に話しかけた。