優ちゃんが出ていった日からもう少しで半年が過ぎようとしている。



弥生からのメールが何通が受信していたが、何を聞いても言い訳にしか聞こえなさそうだから読む前に削除していた。



仕事は辞めた。



同じことを淡々と流す仕事内容の公務員の職に何も未練は無かった。
世間では年々下がる公務員の給料だの、カットされたボーナスだのシビアな情報が飛び交っていたが、私の働いていた職場の蓋を開ければそんなことはない現実。



余った予算で課の皆との温泉旅行。完全な不正の領収書。
生活に困っている人達や金銭面に苦労している人達の税金を、笑顔で使っていたのも事実だ。




善人ぶるわけでは無いが、良心が痛むこともしばしばあってその不満を彼に吐き出したりしていたから、



こんな善し悪しの区別すらつかない汚い大人の世界にいたくもなく、優ちゃんと別れた数日後にあっさり辞表を届けてその場を去った。



持って帰ってきた道具は、電卓とブランケットだけ。




誰も来ない家賃も光熱費もかからないこの家で、結婚資金に貯めていたここ暫くは困らないくらいの貯金を崩して働きもせず、



デパスという精神安定剤を飲み続けて私は今、ひとりぼっち。