密の味~そこから先~



「京ちゃん、僕はね。そこから先に進みたいんだ」


私の思いを無下にして、自分の思いを口にした。


「そろそろ時間だね」


気付けば、男子のスタート時間直前だった。


残念そうにしながらも、雅志は私の足を下ろす。


「ね、京ちゃん」


呼びかけられ、思わず体が強張った。


「僕が先輩に勝ったらさ。さっきの続き、させてよ」


「っ!?」


「先へ、行かせて?」


そう耳元で囁き、雅志は保健室を後にした。