保健室には誰もいなかった。


雅志は私を椅子に座らせると、手当に必要な物を揃え始める。


「外に先生いたのに……」


「注目されて笑われながら、手当されたい?」


雅志の言葉に思わず閉口する。


私はおとなしく、ここで手当てされる事にした。


準備が整うと、私の前に跪いて処置を始める雅志。


突然――。


「先輩、来ないね」


彼氏の話を振られ、一気に気分が重くなった。


「冷たいね。彼女が怪我してるのに」


「もうすぐ男子じゃん。来れるワケないよ」


「僕はいるけど?」


「……」


言葉に詰まった私を見て、雅志はさらに容赦ない言葉を放った。