思えば思うほど、
考えれば考えるほど、
落ち込む。








突然、ガラガラっとドアがスライドして開く音がして、
顔をクイッと上げて振り返る。




きっと有紗が戻ってきたんだと思って向けた顔が、

入ってきた人を認識して固まった。







「……透…真…」



彼が私の名前を知っているかすら確かではないけど、
彼の名前を覚えているどころか、心の中でいつも呼んでいる私からは自然と名前が出た。




何故透真が?と考えたが、彼の席にカバンが置きっぱなしなのを思い出す。

ああ…今までどこかに居て、今帰るところなんだ…。



彼の手にはスケッチブックがあったから、美術が終わってから今までどこかに居たのがわかる。