誕生日なのに……透真を見れたのが半日だけだなんて、本当にツイてない。


私の勝手だけど、誕生日の日くらい一日中透真と同じ空間に居たかったな……。










日誌が書き終わり、息を吐きながらシャーペンを手放す。



転がったそれは、カラカラと教室に音を響かせた。



誰も居ないこの教室は、夕焼けに染まって赤がいっぱいで、
窓の外は真冬で寒いのに、野球部の元気な掛け声が聞こえてくる。






「……どうやったら、消えるだろう……」




どうやったら消えるだろう……この想いは……


毎日透真を追ってしまう目…
知らずに透真を考えてしまう頭…
透真を見ると好きで溢れる胸…





言う勇気すらないのに…

私は透真に嫌われるのが嫌で、告白する勇気すら無いのに…

『つまらない女』なんて想われたくなくて、気軽に話しかけたりも出来ないのに…

見込み無いって思い知るのが怖くて、近付く事も出来ないのに…