「ほらほら~せっせと書く!私は、ノートを理科準備室に置きに行ってくるから、それまで書いておいてよ?」
放課後に皆から集めたノートを積み上げて、有紗は軽々と持って教室を出て行った。
有紗が教室から出て行ったのを見送ってから、
私はまた日誌に目を落として、今日あった授業を書いて行く。
1限目…国語では、透真は黒板をぼーっと見ていた。
2限目…理科では、透真は真面目に授業を受けていたのか…ずっとノートに何か書いていた。
3限目…社会では、透真は机に突っ伏して寝ていた。
4限目…美術では、透真は窓際の誰も寄らない場所で絵を描いていた。
因みに透真は絵を描くのが好きで、その実力は優れている。美術部の彼が夏のコンクールに出した作品は最優秀賞だった。
今日の美術でも彼の活き活きとした顔が見れたが…どちらかと言えば優しい顔をしていた気がする。
昼休み、彼は教室に居らず、その後彼は教室に帰ってこなかった。

