殺した理由

街中を歩いていると、久しぶりに思う賑やかで綺麗な景色が広がっていた。

木の葉がさざめいていたり、子供の笑い声、おばさんたちの話し声、

赤ちゃんの泣き声、小鳥のさえずり、色んな物が聞こえてくる。

(こんな、感じだったっけ?)

と、不思議に思った。

静江はそんな利津を見て、見守るように見ていた。

利津はいつの間にか、静かに鼻歌を歌っていた。

それに同調するように、静江も鼻歌を歌いだした。

「あ、静江も歌ってる」

発見したように言う。

「それを言えば、利津もじゃないかい。」

静江は可笑しそうに、笑ってみせる。

周りから見れば、仲の良い祖母と孫に見える。

だが、違う。

違うことに少し利津は落胆(らくたん)する。

(何故だろ?)

心の内で、首を傾げた。

・・・悩んでも仕方ないか、と、今だけ思った。


静江の家には、誰も居なかった。

夫が亡くなったか、それとも、結婚をしていないかの

どちらかと思った。

しかし、誰も居ないことにあまり気にならなかった。

それに人の事情を詮索するのは、フェアじゃないと思ったからだ。

互いに、一線を引いているような感覚だった。

秘密を抱いている様な。

だが、静江は利津みたいな人殺しではないことは分かる。

何故なら、静江は皆に優しいからだ。

困っている人を助けたり、相談に乗っているらしいからだ。 

――――――俺とは、違う人間。



そんなことを考えている内に、ショッピングセンターに着いたようだ。

「さて、どこから行こうかね?」