殺した理由

「いい匂いだねぇ」

利津の匂いを嗅ぎながら青少年は言うと、離れた。

そして、自分の指と指で絡め、優しく微笑むと口を開いた。

「異変、気づいた?救急車とか警察が来てること・・・。まぁ、気づくよねー・・・。」

「しかも、自分の家みたいなところからだもんねー・・・・・・・・・」

青少年は急に黙り込んだ。

無表情で利津を見た。

すると、利津はゆっくりと口を開いた。

「・・・・・・ねぇ、もう気がづいてるでしょ?僕が殺した人」

「・・・それは・・・」

青少年は勿体ぶるように、間を空けた。

利津は何も言うことができないと言う顔で、青少年を見る。

だが、内心不安に心を奪われていた。

「それ以上の言葉は聞きたくない」。

その不安で心は奪われていた。

青少年は、「もう、言っちゃうよ?」とでも言うかのように笑った。

「斎藤静江を・・・さ」

「!!」

驚愕の目で利津は青少年に悲しい事実を言われた。

既に分かっていたことでも、驚いてしまった。

そして、絶望をした。

利津は膝を崩し、地面に膝が静かについた。

双眸(そうぼう)から涙が溢れてきてしまった。

すると、青少年は無表情で利津に近づき、抱きしめた。

「でも、いいじゃない・・・。君も・・・人殺したんだから」

「・・・・・・!!」

利津はそれを思い出したかのように、目を見開いた。

それに合わせて、一粒の涙が出た。

長く忘れていたことを思い出してしまった。

利津の頭の中で、埋もれていた記憶がまた出てきた。

「成し遂げた」と、思っていたことを思い出してしまった。

「あ、もしかして、忘れちゃってたのかな?」

「今の生活が幸せすぎて」

「だけどさー・・・、そろそろ思い出さないといけない時期(とき)だよ?」

利津は返す言葉がなく、口を半開きで放心状態であった。

頭の中が真っ白になってししまい、利津は何かを考えられる状態では、なくなってしまった。