殺した理由

「なぁ、静江。俺、着付けが上手くなったんだ。見てくれる?」

と、利津は期待を込め、首を傾げ、問いてみた。

その期待に、答えるように静江は、答えた。

「ええ、いいよ。是非、見せてもらおうかねぇ?」

そして、利津たちは和室に向かい、早速、着付けを始めた。

手際良く、着付けをした。

着付けはあっという間に終わった。

これ以上にない出来だと、自画自賛ながら利津はそう思った。

「あらまぁ、上手に出来てるじゃないかい。後ろも見せておくれ」

利津は静江に言われた通り、静江に背を向けた。

それをじっと見て、変になっていないかを静江が見てくれた。

見終わると、背中を軽く叩いた。

「よく出来てるじゃないかい!」

「よく頑張ったねぇ」

「!!」

利津は静江に褒められて、嬉しそうに笑ってみせた。

静江に褒められて、心が高鳴った。

ワクワク、ドキドキした。

このワクワク、ドキドキというものも、久しぶりに感じた。

利津にとって、静江はいい影響を与えてくれる人だった。

闇を救ってくれるような。

だが・・・・・・。

「ありがとう。静江。俺、嬉しい。」

利津は素直にそう思った。

だから、そう言葉に言ってみた。

また、久しぶりなことだった。

利津は、静江と居れば、久しぶりなことが起こるのではないか、と思った。

もしかしたら、と。

半信半疑。

そんな状態だった。



利津は、あの日のことをうっすらと少しずつ忘れていった。

それは禁忌。

「忘れてはいけない禁忌」。

それを今、起こそうとしている利津。




Do not forget your crime.
(お前の罪を忘れるな。)