殺した理由

その後は、スーパーマーケットに向かい、今夜の夕食の材料を買った。

今日は、どうやら、お鍋らしい。

水炊きのお鍋、だそうだ。

当たり前のように、2人前だ。

利津は、その間、着物の着付けの練習をした。

意外にも、この家にパソコンがあったため、着付けのサイトを見ながら、

着付けをした。

色んな、サイトを見たが、着付けしているシーンを写真で一枚一枚ずつ撮って、
載せているのもあれば、動画で一緒に着付けをしてくれるものもあった。

利津は、両方のサイトを見ながら、着付けを覚えていった。

4、5回目は、お手本の着付けを見ながら、6回からは、それを見ずに、

着付けをした。

すると、和服屋でやった時よりは、着付けが上手になった。

さらに、お鍋が出来るまで、着付けの練習をした。


10分後。


静江から、声をかけられた。

「お鍋が出来たよ」

「ん、わかった」

と、短く返事をした。

見事なものだった。

お鍋に顔を覗かせた瞬間、美味しそうないい匂いが利津の鼻を擽った。

「ぐう~」と利津のお腹がそれに反応するかのように、鳴った。

その音が鳴ると、静江が面白そうに、

「ご飯にしようかね」

と、言った。

利津は、外面だけは冷静であったが、内面では、少し焦っていた。

少しだけ、恥ずかしいと。

これだから、美味しい料理には敵わない・・・。


そして、椅子に座り、合掌(がっしょう)をし、「頂きます」と挨拶をし、食べ始めた。

口の中に入れると、見掛け倒しじゃない、美味しい野菜と肉と汁の味が

口の中で広がった。

思わず、「美味しい・・・」と呟いてしまった。

だが、静江には聞こえてなかったらしい。

内心、よかった、と思ってしまった。

何となく、恥ずかしい、と思ったからだ。

そんなことを思いながらも、野菜や肉と汁を口の中に放り込んだ。

黙々と食べている内に、2人前のお鍋は終わってしまった。

また、合掌をし、「ご馳走様」と挨拶をし、食事を終えた。

その時、利津は思い出したかのように、静江に話しかけた。