お見合い当日


「マジでするの?」
「ここまで来て、まだしないきなの、あんたは!」
「だってさ・・・仕事の・・・」
「携帯は預かります(怒)」


無理やり着させられた着物。
普段スーツばかりの文子の身体には、かなりの負担だった。


カン・・・


獅子威しが鳴り響く廊下を重い足取りで歩く・・・

「あっ、木下さん!」
「安西さん!今日はよろしくね。」



(来た、世話好き木下さん。やっぱりこの人が関わってたか・・・)



世話好き木下さん。
文子の実家の隣人で、お見合いから就職活動、さらには学校探しまで、何でも首を突っ込んでくる“おせっかいおばさん”
文子にとってかなりの天敵でもある。


「ふみちゃん、こっちこっち、失礼します!」


襖を開けたその先にいたのは、30後半ぐらいの見るからに寝暗そうな男とその親。


(この人もこの縁談乗り気じゃないと見た!)


そう思いながら、文子は母親と一緒に席に着いく。