「う~~~~~~~~~~~~ん!!」
「はい、西澤さん力んで!」

文子は分娩室の中で、初めての出産に挑んでいた。必死に力んで、少し休んで・・・繰り返すうちに文子は母親になろうとしている。

一方、分娩室の外にいる西澤も少しずつ父親になろうとしていた。一枚のドアをはさんで向こう側にいる文子と共鳴するかのように、西澤の気持ちも変化していく・・・


「ハア・・・ハア・・・」
「がんばって!頭でたよ!あと少し!」
「はい・・・」
「はい!力んで!」


ドアの向こう側では、西澤以外に文子の両親と創輔、由美子、智視、西澤の母と和明が待合室に集合していた。新たな家族の誕生を今か今かと待っている。

そして・・・


「ォギャ~~~!ォギャ~~~!!」


「生まれた・・・」

「「「「「「「ぃやった~~~~~~!!」」」」」」」


放心状態の西澤の横で、喜びを爆発させる家族たち。あまりに呆然とする西澤の姿を見た文子の父は「西澤君?」と呼びかけるのだが・・・


バタッ・・・


「に、西澤君?」
「亮太?」


緊張の糸が切れたと同時に、気を失うかのように眠ってしまった・・・