「ルリがかわいくしてあげるよ」





「………興味ないし、合コンも行く気ないから」





テキストを黒いバッグに詰め込んで私は立ち上がる。





「違うの!」





歩き出した私の手を彼女はつかんだ。





「松井さんと友達になりたいの。リンゴって呼んでもいい?」





「………好きにすれば?」





振り払おうとした手は、強く握られたまま振り解けなかった。





「ケー番、教えて? それから―――」





ルリの大きくて透き通ったまあるい瞳が、私を見透かす。





「合コン行こ?」





何を考えているかわからない。





そう思っている間にも彼女はお構いなしに私の領域へと入ってくる。