あの踏み切りのあるあの町で、





「まだ、引きずってんの?」





「そう………なのかな?」





「もう6年も前だよ。いい加減―――」





「―――消えないの」





何をすればいいと言うのだろう。





「いつもずっと頭の中で彼の声が聞こえるの」





どうすれば忘れられるのだろう。





「紗江。どうしたら消えるの? ねぇ、紗江教えてよ!」





テーブルの上で堅く握った手に紗江がそっと触れる。