俺はどうやら、そのまま寝てしまったらしい。携帯から流れる着うたで目が覚めた。

 窓の外を見ると既に日が落ちている事から、三十分から一時間は寝ていただろう。

 眠い目を擦りながらポケットから携帯を取り出して画面を確認する。

 美咲からだ。やっぱ着歴に残っちまったのかな。

 つかヤベェ。さっきは思わずかけちまったけど、何て言おうか?

「おう」

 気分を落ち着かせる為、一度深呼吸してから電話に出た。

『あっ秀人。さっきはわりぃな。風呂入ってた。電話何だった?』

 いつも通りの美咲の声。

 いや、いつもより少し元気がないようにも感じる。やっぱ何かあったのか? 考えすぎか?

「いや、特に用事はなかったんだけどさ。給湯器が動いてたから家に居んのかなと思って。それより今、電話大丈夫なのか?」

 彼氏と居るんじゃねえのか、と聞きかけて言葉を飲み込んだ。

 そもそも彼氏と居るにしろ友達と居るにしろ、誰かと一緒に居んなら電話なんてしてこねえよな、普通。

『大丈夫だよ。ちょうど私も電話しようと思ってたし』

「何かあったのか?」

『いや、何もねえよ。秀人こそ何かあったんじゃねえの? バイト終わった後、何か変だったぞ?』

 やっぱ気付いてるよな。

 会って謝りたいし聞きたい事もある。夜メシでも誘ってみるか。