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 それから一夜明けた土曜日。私は今日、作戦を実行する事に決めていた。

 まあ作戦と呼べる程の大した事でもないんだけど。

 今日は夜もバイトがあるから、ひとまず昼で上がり。夜のバイトは六時半からだから、かなり時間がある。

 バイトから上がった私は、秀人と昼メシを食って帰宅した。

 そして手洗い嗽を済ませた後、換気扇の下で煙草に火をつけて携帯を開く。

 あいつ、出るかな?

 ディスプレイに表示されているのはバカ西の名前。これは茜とバカ西が付き合う前に教えられていたもので、長らく電話帳の整理をしていなかった為に残っていたのである。

 つまりバカ西に電話して、なんとか二人への嫌がらせをやめさせようという単純な計画。単純にバカ西の嫌がらせの矛先を私だけに向けようという作戦だ。

 主犯がバカ西だと確証を得る事が出来たから意味を成す方法。

 バカ西が聞き入れるかどうかは分からない。ただ、このままにしておきたくないだけ。もう二人には手を出して欲しくないから。

 もう一度呼び出して今度こそ手出し出来ないように徹底的に痛め付けてやろうかとも考えた。

 でも、それじゃ解決にはならない。根本的な部分で解決しないと意味ないから。

 そもそも私は別にあいつを退学に追い込みたい訳でもないし、それは止めようと思った。

 秀人や大樹がどう思っているのかは分からないが、単純に私の性格上、やりたくないだけ。

 綺麗事かもしれないけど、そこまでしたくなかった。