新しい生活がはじまる。
高校生活への期待をつのらせて、ピカピカの制服に腕を通す。
肩まで伸びた黒髪をアイロンで丁寧に整えて、スカートは程よく膝上。
きっとこれで、おかしなところはないはずだけど……。
「うーん……」
わたし、櫻井 宇海(さくらい うみ)は鏡に写る自分とにらめっこ中だ。
新入生代表のあいさつもするし、なにより第一印象が肝心だ。
「大丈夫かな……」
ひとりごとのようにぽつりとつぶやくと、小さなため息が聞こえてきた。
パッとそちらを振り向くと、あきれた顔でドアにもたれる男の子がひとり。
「……いいから、はやく行くぞ」