グッと引き寄せられた私は拓斗さんの腕の中におさまる。


うっとり拓斗さんの胸元に顔を埋めながらくんくんと匂いを嗅げば、いつもの匂いと混じって煙草の匂いがする。


この匂いって…。



「臭いか?あいつのが移った」

「大丈夫です。っていうかなんで分かったんですか?」



煙草の匂いがすると思った事を。



「優子の事ならそう思うだろうと…。あまりくっついたら優子にも移る。それでもいいのか?」

「平気です。後でお風呂に入るので、だからもう少し拓斗さんの近くにいたいです。ダメですか?」

「優子が嫌ではないならいい」



それはどんなアロマよりも、私を落ち着かせ幸せにしてくれる。


大好きな拓斗さんからしかしない匂い。


同じシャンプー類を使っても、同じ柔軟剤類を使っても、同じにはならない。



「―…ま」

「えっ?」

「いや、何も言ってない」