唇が触れるまであと3㎝くらいのところで、あたしは蹴る準備をする。 これ以上近づいてきたら、本気で蹴る。 噂が広がったって、仕方ない。 自分の方が大事なわけだから。 さらに近づいたそのとき──── 「おい」 低く、聞きなれた声がした。