あたしはお兄ちゃんの考えてることが手にとるようにわかる。
お兄ちゃんの瞳の奥に、殺意がある。
殺したい、そう思ってる。
あたしも、同じだよ。って、言えたらどんなに楽か。
いま、あたしは冷静にならなくちゃいけない。お兄ちゃんが冷静さを失ったら、誰がお兄ちゃんを止める?
────あたししか、いないじゃん。
どんなにあいつらを殺したくても、できない。だって殺すということは、あいつらと同じになるということだから。
だけど、もし
「本能に理性が負けたら、どうなるんだろう……」
青いそらを見上げ、小さく呟く。
理性が必ず勝つなんて保証は、ないのだから。
「美亜」
久しぶりに見る、奏多。
どこか不安げで、なにかに怯えているような瞳。だけど無理をして笑う。
「美亜は俺の後ろ!」
「……うん」
なぜそんな瞳をするのか、わからなかった。

