●私●


 コンコン、コンコン

と、ドアがノックされた。


「はい、どうぞ~」



和男さん、来てくれたんだ……。


私は言葉も出なかった。


「大丈夫か?聞いた時びっくりしたで~」


和男さん……
私は涙が込み上げてきて、もう、どうしようもなくて……
何を話していいのか分からなくなった。


「ううっグスン、グスン……
和男さん……何で、ここが?
ママに聞いたの?」


「あぁ……あいつが教えてくれたんや、
あいつな……俺と久美子の事、知っとったわ」


私は心臓の奥がドキンとした。


誰にも言うなよ……
って、特にママには、バレないようにって言われていたのに……


白状したのは、この私……
でも和男さんは、
その件に関して責める事はなかった。



「なぁ久美子~バレてしもうた事は、もう仕方ない。
それより、これからはしっかり食べなあかんで……
食べて体力をつけて、元気出さな、なっ」

と和男さんは私の額に……チュって唇を重ねてきた。