結局、病院に到着する前に、アタシの肉体は全ての動きを止めてしまった。


拓也が病院に駆け付けた時には……もう拓也と話せる状態ではなかった。


   魂に口なし~


拓也~拓也~拓也~拓也~拓也~拓也~拓也~拓也~拓也~


泣いても叫んでもすがっても……
あなたにアタシの声は届かなかった。




今、アタシは救急車の中で……横たわる久美子を、満月と共に見守っている。


同じうさぎ同士……
他人事とは思えない、人生まだまだ長いんだから、どうか助かって欲しかった。

久美子見守りながら……アタシはついつい昔を思い出してしまったよ。


それは、それは、久しぶりの救急車だったし、懐かしの救急車だったし、アタシの最後の舞台となった場所だったから。