●アタシ●


  アタシ真理子


アタシも慌てて救急車に乗り込んだ。


救急車って……乗ったのはこれで2回目……ってか、何の自慢にもなんないけどさ。

初めて乗ったのは、アタシの命日となった日、そう、アタシはこの救急車の中で、無理矢理、肉体から魂を取られてしまう事に……。


あれは、店の閉店時間も近い時だった。
お客はウチを刺した寿司職人と、後サラリーマンの2人連れが1組、そして従業員の女の子が1人いた。

職人が帰ると言うので……アタシは見送りの為、表に出た。

「源さん、ありがとうね♪」


いつになく……源さんの目は何処と無く恐いものがあった。
そう一週間前の事~
この店がまもなく閉店する事は、お客皆に伝えていた。


結婚するなんて事は内緒だったけど……何て言っても狭い街だったから、噂は直ぐに流れ、殆んどの客にはバレた後の事だった。


その事は、聞かれはしなかったけども、たぶん源さんの耳にも、入ってしまったんだろうな?と思っていた時……


源さんがアタシを見つめた、それもは真剣?と言うよりも……なぜか、瞳が血走っていた、白目の部分に血管が浮き出てていた。