「ママ、お腹空いたよ」

昔のあたしが枕に話しかけてる。

「明日になれば学校で給食を食べれるんだけど」

「あ、ノートも買わないと駄目だぁ」

「ママどうしよう?」

「どうしよう…ママ…」


声が震えてる…


あたしは立ち上がると
茶の間を覗いた。

お菓子やカップラーメンのゴミだらけの部屋

その中に昔のあたしは座っていた。

枕に一生懸命話しかけて
泣きながら笑ってる

人間はお腹が空いてくると弱くなる

この時、気付いたんだっけ。

そして、この時くらいから色々始まったのも覚えてる。

お腹が空いて、
ノートも欲しくて

万引きを始めた。


初めは近くのスーパーで
おにぎり
慣れてくると
お肉、魚、調味料。

親もいないし、掴まってもかまわない。

そお思うと、逆にバレなくて。

次に文房具。

洋服

化粧品。


いつの間にか万引き仲間もできて。

学校をサボっては万引きツアーなるものを繰り返し繰り返しやってた

別に食料さえあれば他は万引きしなくてもよかったのに…

万引きする事で現実から逃げる事を覚えていった