竜稀くんは有紗ちゃんが
教室に入って来た事に
気がついていないのか
抱きついて来ている女の子を
振り解こうとせず、
喋っている……




「た~つ~き~…………」



低い声でまさに鬼の様に唸る。





竜稀くんは有紗ちゃんの
鬼の声が聞こえたのか
慌てて女の子の腕を振り解く。





有紗ちゃんはゆっくりゆっくり
竜稀くんとの距離を縮めていく、




「いまさら腕振り解いても遅いのよ!!」






「いや、ま、まて!
有紗!違う!」





「何が違うの?ちょっとこっち来て!!」






有紗ちゃんは竜稀くんの
腕を乱暴に引っ張り
教室の外に消えていった。