「紗希ちゃんーいるのー?」

階段の下からお母さんの声が聞こえてきた。

「はいー!居まーす!」

紗希が元気よく大きな声で答えた。

「そろそろ学校行く時間だから梨華と行ってあげてー」

(行ってあげてって……)

「はーい!」

「梨華ママ行ってあげてって」

紗希が茶化すように言ってきた。

「私の事何歳だと思ってるんだか……」

「ドンマイ」

紗希が笑いながら言ってきた。

「よし!準備OKー」

準備が出来た私は紗希に言った。

「じゃあ行きますかー」

「行きますかー」

「じゃあ玄関でね!」

「はいはい」

そう紗希が言ってベランダから紗希の家に戻って行った。

言い忘れてたけど、紗希の家と私の家が隣同士でお互いの部屋をベランダからベランダに移って行き来するのが日課だった。



「じゃあ行きますか……」

スクールカバンを持って部屋を出た。