腕を引っ張られながらついていくと、お茶会が行われている薔薇園に辿り着いた。

「カレン!?」
「ありがとう、イーディ」
「いえ」
「また会えたわね、フローラ」
「あの、どうして?」

 私をここへ呼んだの?

「前から思っていたの。あなたともお茶をしたいって」
「私、貴族じゃないよ。参加したらまずいのでは?」
「気軽なお茶会だから大丈夫よ。座って」

 どうしよう、かなり緊張してきた。紅茶を飲んで気分を落ち着かせよう。
 紅茶を一口飲んで、その温かさに緊張がほぐれた。

「フローラ様がカレン様を呼び捨てに・・・・・・」
「私がそうしてって言ったの。敬語も使わない約束を守ってくれて嬉しいわ」
「カレンはずっと城に住んでいるの?」
「フローラ様、何をおっしゃるのですか!?」
「カレン様は姫様なのですよ!」

 姫?姫様!?私は失礼なことを数々としてしまった。

「あの、申し訳・・・・・・」
「謝る必要なんてないわ。もう、簡単にばらすからフローラが謝罪しようとしたじゃない」

 今度は姫様と言ったメイドさんが謝った。

「気を取り直してこの時間を楽しみましょう」

 みなさん笑顔で賛成した。もちろん私も。
 それから私はケヴィンのことで質問攻めにされ続けていた。

「フローラ様、いつもケヴィン様とどのような話をされているの?」
「いつも一緒にいられて本当に羨ましい」
「いつだって視線はフローラ様に向けられているもの」

 貴族のお嬢様やメイドさん達は話しながら、溜息を吐かれている。

「あなたはケヴィン様と交際をしているの?」
「いいえ、違います!仲良くしていますけど、そんなんじゃ・・・・・・」

 いつもされている抱擁やキスを思い出し、顔が熱くなった。

「何その表情?」
「真っ赤な林檎みたいよ。何を考えているの?」
「いえ・・・・・・」
「気になりますわ。普段は何をされているの?」
「逞しい腕に抱きしめられているとか?」

 危うく紅茶をこぼしそうになった私を見て、その場にいる人達はそうされていると確信した。

「いいな」
「ケヴィン様の特別なのね」
「恋人同士ではないってことはあなたはどんな男性が好みなの?」
「えっと、そうですね。頼りがいがあって、強い精神の持ち主がいいですね」

 そのことにみんな肯定の意味として頷いてくれた。
 お茶会はどんどん賑やかになっていき、私もそれに溶け込んでいった。

「イーディ、あなたから見てフローラはどんな方なの?」
「私から見てですか」

 イーディ、どんなことを言うつもりなのかな。

「フローラ様は可愛くて、困っている人を見ると、手を差し伸べる優しい方です。それに人を惹きつける力を持っております」
「イーディ、褒め過ぎよ」
「私は本当のことを言っただけです」
「それじゃあケヴィン様が夢中になるのも無理ないわね」
「何人か使用人がフローラ様に好意を寄せているみたいよ」
「それは本当?」
「フローラは人気者ね」
「そんなことはないよ」

 空を眺めると、青空で気分がさっきよりもっと良くなった。