二人は互いの国の話をし、互いに驚きあった。
王宮とスラムという環境の違いを差し引いても、華国とファティマの生活にはかなりの違いがある。
「難しいのね……」
「私ニハ、此方ノ方ガ難シイワ」
黎明が書いた書を見ながら呟くラサに、彼女はクスクスと笑う。
言葉は勿論、文字ひとつ取っても、二つの国は全く違う。
単純な象形を連ねたファティマの文字と比べ、華国の文字はずっと複雑に見える。
「同ジ発音デモ、意味ニヨッテ使ウ文字ガ違ウノ。ソウイウ意味デハ、覚エルノハ難シイカモ」
「でも、黎明はファティマの言葉も上手ね」
「一杯勉強シタモノ……デモ、マダマダ。藍深ヤマルジャーナハ、モット上手」
「マルジャーナはずっと、黎明の侍女だったの?」
「イイエ、元ハ姉様ノ侍女ダッタノ。私ガファティマニ来ルコトニナッタ時ニ、父様ガツケテクダサッタノ」
「マルジャーナは……」
「ナニ?」
「……何でもないわ」
それは、ラサの言うべきことではなかった。
王宮とスラムという環境の違いを差し引いても、華国とファティマの生活にはかなりの違いがある。
「難しいのね……」
「私ニハ、此方ノ方ガ難シイワ」
黎明が書いた書を見ながら呟くラサに、彼女はクスクスと笑う。
言葉は勿論、文字ひとつ取っても、二つの国は全く違う。
単純な象形を連ねたファティマの文字と比べ、華国の文字はずっと複雑に見える。
「同ジ発音デモ、意味ニヨッテ使ウ文字ガ違ウノ。ソウイウ意味デハ、覚エルノハ難シイカモ」
「でも、黎明はファティマの言葉も上手ね」
「一杯勉強シタモノ……デモ、マダマダ。藍深ヤマルジャーナハ、モット上手」
「マルジャーナはずっと、黎明の侍女だったの?」
「イイエ、元ハ姉様ノ侍女ダッタノ。私ガファティマニ来ルコトニナッタ時ニ、父様ガツケテクダサッタノ」
「マルジャーナは……」
「ナニ?」
「……何でもないわ」
それは、ラサの言うべきことではなかった。
