気まぐれ作品置き場




白昼夢の世界。

手足の感覚もないこの世界で、ぼそぼそと何かを呟く声が聞こえる。

よく耳をこらせば、名前で。



『能九』

『おいで』

『こっちだよ』

『はやく』



白くてよく伸びるうねうねとした手が、いや、触手のようなものが俺を蝕もうとペタペタ触れてくる。



『ねぇ、能九』

『幸せだった?』

『しあわせ、しあわせ』

『うそうそ。しあわせ、ない』