嘘、鬼よ。
















「5月下旬の話だ。
監察の山崎烝や島田魁達によって枡屋…、古高俊太郎の存在を確認した。」



数人の幹部が驚いたように目を見開く。

私はともかく他の幹部すら知らされていなかったのか。

知っていたものもいるようだが…


近藤さんは相変わらず全てを見透かしたような面持ちで腰を掛けている。




「会津藩に報告したところ、長州との繋がりが認められたため、俺と数名の幹部で古高を捕らえた。」




……。

私が学んだ歴史はこんなだっただろうか…?


なにかがおかしい……




「捕らえた古高は俺の拷問で、自白した。
自白内容は……」




ごくりと唾を飲む音が聞こえた気がした。



「『祇園祭の前の風の強い日を狙い御所に火を放ち、その混乱に乗じて中川宮朝彦親王を幽閉。一橋慶喜、松平容保を暗殺して孝明天皇を長州へ連れ去る』というものだった。」



一橋慶喜………、徳川慶喜のことか。

松平容保は、私の記憶が正しければ、徳川の男系子孫であり幕末の大名ってところだった。



これは恐らく歴史通りだったと記憶している…。




「さらに探索によって、
長州、土佐、肥後藩等の尊王派が、古高が俺たちに捕まった事をうけて、襲撃計画の実行中止について協議する会合が行われる場所がわかった。」





池田屋……。






「池田屋か四国屋のどちらか…ということらしい。
今分かっているのは、これで全てだ。
こちらが嗅ぎ付けたと気づかれる前に、実行に移さなければならない。
しかし準備は必要だ。
来月には突入を予定している。」





あぁ、正解を言えないのがもどかしい。


分かっているのに…。





池田屋だ、と言えるのに…。