嘘、鬼よ。














「…悪かった。
世話をかけた。幹部だというのにこれじゃ平隊士に顔向け出来ないな。」


まったく、情けない…。
幕末で生きることとはこういうことなのに…


もう後戻りは出来ない。


……鬼さえ恐れない鬼になろう。



「そんな心配はいらない。
初めて人を斬ったんだ。当たりまえなんだよ。」




当たりまえ…か。



この幕末ではなにが当たり前なんだろうか…。


武士だったら、人1人くらい余裕で殺した事があるのだろうか。




目の前の男たちは、一体何人もの人生を終わらせてきたのだろうか。




自分が怖い…

きっとこれから人を斬ることが当たり前となって行く。



そうなった時の自分が怖い。



鬼に…、鬼になった私は人の命などどうでも良くなってしまうのだろうか?




この時代に飲まれるのが怖い…。


初めてそう思った。