「三冷さまお帰りなさいませ。」
仰々しく挨拶をする夏村。
彼は私の使用人だ。
「ただいま。
夕飯は要らない。
お風呂に湯を張ってくれ。」
旧家の家なのだ。
使用人位いておかしくはない。
家政婦のようなもの。
そもそも一般家庭において、使用人がいないということ事態、つい最近知った。
私にとってはこれが当たり前だった。
……だった…か。
今もこれからも、そうなる。
やけに趣味の悪い吹き抜けの螺旋階段を静かに登ってく。
階段というのもひさしぶりだな。
病院ではエレベーターだったし。
不意に足の裏に鈍い感触がした。
何かを踏みつけたか…?
そう屈んだとき…
ズルッ
………え。
「三冷さま!!!」
まさか、デジャビュ…
視界が回転し、螺旋階段が畝って見える。
冷静なのは、この感覚を前にも経験したことがあるから。
何処と無く懐かしく感じてしまう私は、もう神経が麻痺しているかのようだ。
あぁ、帰れるんだ…。
嬉しい。
幕末に帰れて私は嬉しい…。
