なんだこの虚無感は…。

一睡も出来なかった。



今朝、平隊士たちをふくめ新撰組は、騒然としていた。


芹沢の遺体が見つかり、みんな悲しんでいる。
…ように見えた。


しかし平隊士だって何を考えてるか分からない。

ホッとしている奴だって中にはいるだろう。



何より組長クラスの幹部だ。

表情こそ読めないが頭のなかでは嘲笑っているに違いない。



朝食のおひたしを口に運びながら昨日の事を思い出す。

正確には日付は変わっていたため、今日ということになるがな。




あの暗闇のなか、芹沢の部屋だけがまるでブラックホールのごとくなかが見えず、寒気がするようなピチャリピチャリという血の滴るような音が響いていた。


私はただ唖然として、立ち尽くすしかない。



ついに、来たんだと。

わかっていたつもりでも、いざ亡くなったとわかると怖かった。



隣にいた山崎はいつの間にか消えていて、
私は暗殺班が芹沢の部屋から出てくる前に、なんとか体を引きずって部屋に戻った。




気付かれてはいないはず。

そして土方もそれらしい態度はとってこない。
てっきり山崎が私のことを報告したもんだと思って、大きく見積もっても拷問くらいの覚悟はしていたんだが…。



……原田、命拾いしたな。





私は飯を掻き込んでいる原田にふっと笑いかけると、そのとなりの凹んだ平助に視線を移した。

虚無感…。
私と同じようなものが感じられた。