まぁ、ここまできたら開きなこるしかないか

この世界で死んだら、もとに時代に戻れるかもしれないし…



「で、お前。名はなんという。」



名前か…。
普通自分から名乗るもんだがな。

まぁ、私はもう二人の名前と死ぬ年すらわかってしまっているのだけど。


「それは、義務か?任意か?」




私の問いかけに、沖田や土方、その他その部屋にいた全員が首をかしげた。


質問の意味も分からないのか?

低脳なやつらめ。




「名を名乗ることは、義務なのか、任意なのか、どちらかと聞いているんだ。」



「一応任意…ということになってるだろう。」



任意か…


「なら名乗る必要ないな。
おい、沖田総司。
用があるからわざわざ私を連れてきたんだろう、早くすませろ」



その瞬間部屋の空気が針つめた。



………?

あっ!!
しまった…。



「私の名をご存知で…?」


これでは、ますます面倒だ。




「新撰組の沖田といったら、沖田総司が有名だろう。
そう思ったんだ。」


嘘は得意だ。

うまくごまかせたはず。




「……しんせんぐみ?
なんだそれは?」



しまった!

この時代は、まだ壬生浪士組なのか…!!


そもそも、今何年なんだ。




「ますます、怪しいですね。やっぱり長州の手の者だったりして」



「沖田さん、やっぱりってどういうことっすか」


「いや、町でみた立ち回りがみたことないような構えで、相手の鳩尾を的確に射ていたので、長州のほうの流派か何かの体術かと思いまして」



あのときのか…


あぁ、もう確認しなくともここが幕末の新撰組であることに間違いは無さそうだ…


頬をつねるなんて、馬鹿みたいなことはしないが、現代かどうか確認したくなる。





「君、どうしても名前は教えてくれないのかい?」


名前の知らない物腰柔らかな男が尋ねてくる。






「別に、強いられてないのであればいう必要がないと思っただけだ。
あと、私の名は西園寺三冷。」




まぁ、名前くらい渋る必要もないしどうでもよかったんだがな。