「三冷さまお帰りなさいませ。」
仰々しく挨拶をする夏村。
この使用人もまた、あのときと同じような動作をする。
「ただいま。
夕飯は要らない。
お風呂に湯を張ってくれ。」
そして私の口も自然にあのときのことを口にしている。
現代に戻ってきてからというもの、前回戻ってきた時と全く同じ出来事が起こる。
それもそのはずだ。
時間が同じなのだから…
前回と同じならば私はこの目の前の階段でスッ転び、過去へと再び行くことになる。
どうするべきか…。
きっと今なら転ばない…という選択もあるだろう。
転ばないで…、過去へ行かないで、そうしたらどうなる…?
もしこのまま転び、過去へもどったらまた池田屋前の幕末に飛ぶのだろうか?
足の裏に鈍い感触がした。
これは予想していたものであり、わかっていたこと。
私は前回と同じように屈み、足を滑らせた。
ズルッ
これでいい。
これでいいのだ。
ここで戻っておかなくてはいつ幕末へいけるかもわからない…。
私は、もう…………
「三冷さま!!!」
ドタンッ
え……
