案の定、数日もすればあたしも君もこの状況を脱出してしまっていた。

不覚だったんだ。

だって、見た目は真面目なのに中身は可愛いんだもん。


「ねえねえ!……」

あたしはどんどん君に吸い込まれていった。


一月生まれなこと。

妹がいること。

テニスが好きなこと。

今年一杯で…帰っちゃうこと。



全部ぜんぶ教えてもらった。

聞けば聞くほど、あたしと君との遠慮という壁が無くなった。

最初はまったく喋ってくれなかった君だけど…

段々とあたしに話しかけてくれるようになった。




そのときはなんでかわからなかったけど、

すっごく嬉しかった。