奈々が鳩羽さんと同棲することになり、引っ越していったのは1週間前のことだ。


部屋が1つ空いたので、インターネットでシェアメイトを募集しようと話していた所だった。

 

「部屋が空いたなら、俺が住んでもいいの?」

 

確か、奈々の送別会での一言だった。


オーストラリアに留学中のお兄ちゃんを除く、いつものメンバーがリビングに集合していた。


それぞれの部屋の住人と、サンゴちゃんの彼氏の桃井くんと奈々の彼氏の鳩羽さん。


それに、私と同じバイト先の金次くん(と言っても最近は俳優業の方が忙しく、ほとんどシフトを入れていない)。

 
サンゴちゃんの料理を堪能した後で、今度の部屋は何色になるんだろうね?


紫は奈々のカラーだから、違う色だよね?


とかリビングのソファで話してた時だった。

 
さりげなく金次くんがそう訊ねて来た。



「お前、結構いい所に住んでるじゃねぇか」

 
紅虎が驚いたような表情で金次くんを覗き込む。

 
「うん、事務所に薦められたマンションなんだけど、俺があそこに住んでるってネットで回ってるらしくて、帰るの待ち伏せされてたり、結構あるんだ。ファンの子なら挨拶くらいするけど、アンチの人とかもいて、からかわれたりすると、ちょっと疲れるというか・・・」


「ファンの子でも、住んでる所にまで押しかけられるのはちょっとどうかと思うわ」

 
サンゴちゃんが金次くんに同情する。