草さんが月に一度、あたしにくれる植物標本だ。
今月の花は・・・赤くて小指の先位のがくから細長い花びらが飛び出ている。
「何の花なの?」
「サルビアだよ。お店の前の花壇にも植わってる。これは花の部分だけを摘んだから解りにくいかもね」
サルビアなら知っている。
茎の先に穂のように赤い花をつける植物。
花壇に植えられているのを見て、子供の頃、花を取って、中の蜜を舐めた事を思い出した。
田舎の庭に夏になると毎年、赤い花を咲かせていた。
「へぇ~、ステキね~」
カヲルさんがあたしの後ろから草さんの作品を覗きこんだ。
「ところで草さん、これって、植物以外でも作れますか?」
「物にも寄るけど・・・」
「お願いしたい物があるんですけど・・・」
「お疲れ様、また明日」
カヲルさんと諭さんに見送られ、店を後にした。
扉を閉めると階段の手すりに寄りかかる人影があった。
「虎、何してるの?」

