ロミさんが企画した食事会は失敗に終わった。
食後のコーヒーを飲み干すと、紅虎は立ち上がり、
「帰るぞ」
とあたしの腕を掴んだ。
「え?だって、まだ・・・」
ろくに白鷹さんと話してないじゃない。
強い力で引っ張られ、膝に掛けたナプキンが床に落ちた。
ロミさんを振り返ると彼女は諦めたように首を振った。
「すみません。今日はご馳走様でした」
もともと今日はロミさんが誘ってくれたディナーだった。
ぺこりと頭を下げると、紅虎はあたしの腕をきつく掴んだまま、レストランを後にした。
ホテルを出て、人が溢れる交差点を渡り、人気のないガード下まで歩いて来た。
湿気を帯びた空気と排水溝から漂う悪臭が鼻につく。
切れかけの電灯がチカチカしていて、往来する車のライトを重なって軽い眩暈を覚える。
無言でつかつかと前を歩く紅虎が急に立ち止まった。
「You're liar. なぜ俺を騙した?おかしいと思った。ロミが泊まっているホテルのレストランにわざわざお前が予約を入れるはずがない」

