せっかくレストランでディナーだからオシャレをしてきた。
おろしたてのクリーム色のシフォン生地のワンピース。
いつもはぺたんこパンプスかスニーカーのあたしがミュールを履いているのが珍しいのか、紅虎は足元を一瞥して鼻で笑った。
紅虎はブランドのロゴが入った赤いTシャツに黒いネクタイをし、細身の黒のパンツと足元は革靴を合わせてた。
黒い中折り帽を被るいつものスタイルだ。
慣れないヒールの高い靴にあくせくしながら、紅虎をレストランまで案内した。
初めはどこ連れて行く気だとか何食べるんだとか質問攻めだったのに、歩くに連れて、自分がどこに向かっているのか解ったらしく、眉間に皺を寄せながら黙り込んでしまった。
ホテルのエントランスをくぐり、ロビーを抜けて、エレベーターに乗り込むと、最上階のボタンを押した。
エレベーターの中は2人きりで、急激に機嫌が悪くなった紅虎は貧乏ゆすりを始めた。
この様子は明らかに怒っている。
透明なエレベーターからは都心の夜景が一望出来たけれど、夜景に感動してる余裕があたしにはなかった。
エレベーターが最上階に着いた。
重い足取りでエレベーターを出ると、そこには夜景を一望出来る展望レストランが広がっていた。
受付で予約名を伝えると、窓際の席に案内された。
案内されたテーブルには先客が座っていた。

