口で言うのは簡単だけど、心は上手くコントロール出来ない?
ここに紅虎の事を誰よりも想ってるあたしがいるのに・・・
「不器用だけどまっすぐで、そこが虎のいい所でもあるけれど。東京に来て、女の子と付き合わなかったわけじゃないし。でも、長く続かなかったな。どこかでロミさんと比べてのかもしれないし、遊ぶ程度で良かったのかもしれない。だから、花が想いを寄せても、振り向かせるのはすごく難しいと思う・・・反対してるわけじゃないんだけどね」
お兄ちゃんが話を締めくくると、ロードバイクに乗った金次くんが目の前を通り過ぎて行った。
店の車庫に自転車を立てかけて、戻って来ると、あたしたちに気付き、
「花っぽ、兄っぽ、久しぶり~POPPO」
とラップを刻みながらいつものように満面の笑みで手を振ってくれた。
今日は格好からしてB-BOYになりきっているらしい。
泣き出しそうだった心が金次くんの笑顔で少し癒された気がした。
家に帰るとリビングからいい匂いがして来た。
サンゴちゃんが晩ご飯の用意をしているらしい。
「ただいま、サンゴちゃん。今日のご飯は何?」
「おかえり~、あら、珍しい。兄弟一緒だったの?今日はチキン南蛮よ~。もうすぐ出来るからね」
キッチンからサンゴちゃんが顔を出し、あたしたちに微笑む。
ジューと唐揚げが揚がる音が聞こえてくる。

