逆に美空さんとの思い出に浸ってる?
さっきの涙もそうだったのかな?
お兄ちゃんが泣く所、初めて見てどきりとした。
泣き喚いて愚痴を言うのはいつもあたしで、それを慰めてくれるのはいつもお兄ちゃんだったから。
カバンの中の携帯が鳴って、お兄ちゃんが我に返った。
「メール?」
「うん、お母さんから。父の日にプリザーブドフラワー贈ったんだ。「昨日届きました。ありがとう。お父さんも喜んでます」だって」
あのお父さんが喜ぶわけないじゃん。
きっと新聞読みながら、そうかって受け流したに決まってる。
母の日の時は、お兄ちゃんから喜んでくれてたよって聞いただけなのに。
お父さんの時はメールくれるんだね。
上京して初めて来たお母さんからのメールが、お父さんと娘のわだかまりに気を遣ったメールなんて・・・
「嘘ばっかり」
つい卑屈になって呟いた。
「そういえば、昨日が父の日だっけ?・・・すっかり忘れてた」
よかった、お兄ちゃんには聞えていなかったみたいだ。
「大丈夫、2人からって事で贈ったから。サンゴちゃんとイケメン店長がいる花屋に行ったの。枯れないし、お手入れも楽だからオススメだよって言われて、プリザーブドフラワーを贈ったんだ」

