赤と白のグラスにアイスミントティーを注いで、赤いグラスを紅虎に差し出した。
自分の分も注いで、紅虎の隣に座った。
「メンソール吸ってるみてぇ」
ミントティーを一口飲んでタバコを吸った紅虎が言った。
「ロミは?」
「草が部屋に連れてった。デッサンの練習すんだってさ」
ふぅんと相槌を打ち、少し考える。
お兄ちゃんの事、まだ怒ってるのかな?
普通に受け答えしてくれてるって事は、機嫌が悪いわけじゃないのかな?・・・いいや、機嫌が悪くなっても、このままお兄ちゃんと紅虎の間にわだかまりがあったままじゃ、気になって眠れないよ。
「さっきのお兄ちゃんの話だけど・・・」
「Ah?」
紅虎は顔をしかめ、急に椅子の上に肩膝を立てた。
お兄ちゃんの話を出した途端、態度が急変したんですけど・・・でも、負けない。
「お兄ちゃんはさ、小さい頃から周りの子たちの模範だったの。いい子だね、立派だね。葵くんみたいになろうねって近所の人たちから言われ続けてきたの。あたしもそう言われて育ってきたから、その時はお兄ちゃんばかり誉められてずるいってちょっと僻んだりもしてたの。でも、今思えば、それってお兄ちゃんにとってはずっとプレッシャーになってたんじゃないのかなって思うんだ」
いい子でいなきゃ、みんなの模範にならなきゃって自分に言い聞かせてたら、疲れるし、すごく窮屈だと思う。
でもお兄ちゃんは文句を言ったり、感情を爆発させたりはしなかった。
そのストレスをじっと堪えて、我慢するのだ。

