「それって、美空さんが二股掛けてたって事?ひどい!お兄ちゃんがしつこく迫ってるみたいな言い方してた」
「そう言われてみれば、俺から気持ちは伝えても、彼女から好きって言われた事は一度もなかったな・・・やっぱり俺が勘違いしてたのかも」
そう言ってお兄ちゃんは背中を丸めた。
自分で言ってて、明らかに落ち込んでいる。
「D○mn it! やっぱりあの女がb○tchじゃねぇか」
紅虎が舌打ちする。
「彼女を悪く言うのはよしてくれ。俺はまだ彼女の事が好きなんだ」
「バカじゃねぇの?二股掛けられた上に振られて、迷惑だって言ってんだぜ?あの女の結婚式ぶち壊してやろうぜ」
紅虎が熱くなり、ジェスチャーを交えながらお兄ちゃんに訊ねた。
お兄ちゃんは静かに首を横に振る。
「彼女が幸せになるならいいよ」
紅虎は眉間に皺を寄せ、顔をしかめた。
「That's ridiculous. Are you crazy? もういい、俺は知らない。勝手に言ってろ」
紅虎は立ち上がると部屋を出て行ってしまった。
ゆっくりと回る魚の影と、聞えるのは外で降りだした雨音。
どうしよう。
何か話すべきだけど、掛ける言葉が見つからない。

